int1992
King Gangster
(by BEY LOGAN / Film Extremes no.1,1992)

彼はコメディからドラマ、高いコンセプトのアクションまでこなす、映画界で一年を通じて旬の男である。彼をスクリーンで見るといつでも、彼は才能である新鮮な様相であなたの心にいつも違った印象を焼き付けるのだ。

彼の名を知らしめたキャラクターである、なめらかに二丁拳銃を操るマーク哥から、「誰かがあなたを愛してる」のほろ苦い漂流者、「ゴッドギャンブラー」での“idiot-savant”まで、無数の描写を通じて、周潤發は彼の才能の深さ、そして幅広さを何度も何度も印象づけるのである。 (※“idiot-savant”=「イディオット・サヴァン」と訳され、映画『レインマン』でダスティン・ホフマンが演じた自閉症患者のように、脳に障害のある人が、ある特殊な技能において常人には見られない能力を示すこと、らしいです。)

実際、恐らくデニーロを除いて、とてもたくさんの成功した映画の中で、このように幅広いキャラクターを演じることを許された西洋の俳優がいただろうか?アジアでのチョウへの評価はそういったものであり、財政的にも、彼は最大のぜいたくをする余裕がある香港俳優なのだ。彼はプロダクションの仕事から降りて、彼自身の選択だけでプロジェクト(映画?)を作ることもできるのだ。

昨年、彼は「狼たちの絆」「プリズンオンファイヤー2」、そして「ハードボイルド」と、本質的に異なる映画に出ることを選んだ。(その頃)西洋では、チョウは製作に何年もかかった映画で、一躍センセーションとなっていた。ジョン・ウー監督の非凡な才能を見せつけたギャング映画「狼」がアメリカでべた褒めの批評を得て、監督とスター両方を有名にしたのだ。このインタビューの時、相変わらずチョウは自分はウー監督の選ばれた表現者であり、二人はペアであること、そして最新流行で深みのある映画「HARD BOILED」はタフな警察スリラー映画であり、「60%がアクション、40%は人間ドラマ(演技)だよ!」とチョウは説明した。

***

FE:私が最初にあなたを見たとても印象深い映画は、ツイ・ハークがプロデュース、ジョン・ウーが監督をした「英雄本色」でした。そして今ではとても奇妙なことなのですが、当時、ツイ・ハークは販売業者(配給会社?)に誰か他の人にマーク哥をやらせるように説得された、と聞きましたが、なぜでしょうか?

CYF:なぜなら当時、彼らは主としてチョウ・ユンファはテレビ俳優だと思っていたからです。映画監督はテレビ俳優や女優の演技はひどいものだと思いこんでいたので、彼らを使いたくなかったのです(笑)。また当時、私の映画のチケットはあまり売れてなかったのも理由です。だから彼らは「その役を周潤發にやらせるんじゃない!」と思ったのでしょう。

FE:あいやぁ。。。

CYF:(笑)いやいや、ほんとに!

FE:「一夜の成功」には通常5年かかると言います。あなたには「英雄本色」の前に、成功しなかった映画がたくさんあることを私は知っています。

CYF:そうですね。

FE:実際、10年前、私は「POSTMAN STRIKES BACK」の撮影場所にいました。19歳でした。ロニー・ユー監督だったと思いますが。。。

CYF:おお!私たちは韓国で撮影をしました。でももう10年にもなる?いや、あれは82年か83年だと思うけど。。。

FE:10年も前のことのように私は感じています。当時、香港映画界で成功するには、あなたがカンフープレーヤーではない、ということが問題だったと思われますか。

CYF:そうは思いません。私は本当にたくさんの役を演じました。1976年から映画を撮り始めました。当時はほとんどがポルノ(わいせつな)映画でした。そう、私はポルノ映画俳優だったんだ!(笑)

FE:ポルノ映画だって?(「Haam saap」は広東語で「スケベさん(by.れすり)」・笑)本当に?今日(のインタビュー)は本当にいい話題がいっぱいだよ!

CYF:はい。当時、(映画)市場はあまりよいものではありませんでした。だから監督はポルノ映画ばっかり撮影していたのです。だから。。。mo banh faht, eh?(これも広東語?)私はお金が必要だったのです。

FE:あなたにはそういう過去があるのですね。「Better Tomorrow」は全てにおいて適切なタイトルだったわけだ。マーク哥のコートやサングラスなど、そういった外観(ファッション)を作ったのは誰ですか?

CYF:いくらかはジョンウー、そしていくらかは私自身が作り出したものです。

FE:台本のキャラクターだったのですか?それとも撮影中にいろいろ付け加えたのですか?

CYF:はい、たくさん付け加えました。私はジョンに私の経験をたくさん話しました。私にはとてもいい友達がいます。リンゴ・ラムを知っていますか?

FE:はい。私は先日、初めて彼に会いました。

CYF:私たちは1973年に一緒のトレーニングクラスにいました。数年後、彼と私は一緒にテレビ会社と契約をしました。1978年に、彼は妻と一緒にカナダへ移住しました。3年後、私は彼に会いにカナダへ行きました。私は彼に映画監督になるために香港に戻ってきてくれないかと頼み、彼は香港に戻ってきました。それは1980年のことで、私はテレビシリーズでとても人気がありました。私は仕事でリンゴをバンコク、シンガポール、クアラルンプールに連れて行きました。彼はその旅行を非常に楽しんでくれました。まるで夢のようだと彼は思ったことでしょう。そして彼の友達にいい俳優で、極東においてとても有名な男がいました。ある夜、彼は一般の人と一緒にたくさん酒を飲みました。その中にはギャングも混じっていました。何杯か飲んだ後、彼は酩酊状態になりました(コントロールを失いました)。ギャングの一人が「お前はボトルを飲みほさなければならないんだ」と言い出しました。リンゴはノーと言いました。するとギャングの一人がテーブルに銃を置き、「飲んだ方がいいぜ。さもなければ、トイレに行って自分の小便を飲むんだな」と言ったのです。

FE:これと同じシーンが「英雄本色」に描写されて、ティ・ロンとあなたの間の絆の強さを描くのに使われていましたね。

CYF:その通り。私はジョン・ウーにこの話をして、映画にこの私の友達の話を盛り込んでみないか、と言いました。私は現実の方が書いたものや想像したものよりも常に強い(印象を与える)と思っています。これは私の実際の経験なのですが。。。

FE:友情や兄弟、義侠心についての考え方が、ジョン・ウーの優れた映画のほとんどのメインとなっています。ほとんどの場合、ギャング同士の絆が魅力的に。。。

CYF:そう、警察官同士よりもね。

FE:マーク哥は香港や他の場所でも、若い世代の犯罪的秘密結社の模範的な人物になってしまっていると思いますか?

CYF:はい、そう思います。だから私たちはこの映画でその傾向を逆にしなければならない、とジョンに言いました。二人の警察官の絆について。私自身とトニー・レオンでね。

FE:「英雄本色」は本当にその時代の流行スタイルを作り上げました(その時代のスタイルの本当の流行仕掛け人となりました)。私が最初に見た時に衝撃を受けた一つの要素は、あなたが生み出して大成功したガンプレイ(2丁拳銃のことやね)が昔のフィルムで見られたカンフーと同じくらいにエキサイティングだったということです。以前は「バンっ!落ちていく。。。」という感じでした。しかし突然、あなたは二丁拳銃やオートマティックな武器を持ち、驚き仰天するほどに(爆竹にように)飛び散る血しぶき(の効果)。。。誰が映画の中であなたがやったガンプレイを考え出したのですか?

CYF:ジョン・ウーですよ。

FE:Abel Ferraraの「KING OF NEW YORK」が香港で公開されたばかりだと思います。その映画のスタイル、そしてガンプレイは「英雄本色」とその続編からたくさん引用しているように思うのですが。。。

CYF:そうなんだ。だからいつもジョンウーは彼自身を誇らしく思ってるんだ。「見たかい?ハリウッドのこの男が僕の映画をまねしてるんだぜ!」ってね。

FE:「英雄本色」には2つの続編があります。私の観点からいうと、ほとんどの続編と同様に、オリジナルほど優れているとは思えないのですが。どう思われますか?

CYF:はい、はい、はい。。。

FE:何かあったのですか?

CYF:僕が思うに、ジョン・ウーがパート1で興奮しすぎて、パート2ではやりすぎたんですよ!(笑)制御不能だね!心奪われてしまったんだよ!(?)

FE:私はパート2では全体としてよりも部分的なところで好きなところがあります。私はコートの部分が大好きです。マークはコートを着ていて、パート1の「英雄本色」でコートを着たまま死んでゆく。そのコートを、あなたが演じた彼の弟であるケンがそれを受け継ぐ。そしてパート1の前編であるパート3では、アニタ・ムイがプレゼントとしてそのコートをマークに与える。しかしながら、パート3でMui Ying Fongがマーク哥に銃の扱い方を教える、という話はみんな信じられなかったはずだと私は思います。パート1の「英雄本色」を製作した頃、あなたはリンゴラムとの最初の映画「CITY ON FIRE」を製作しましたね。

CYF:私はその映画が好きです。

FE:あれはとてもパワフルな映画の1つですね。ダニー・リーとの初共演だったと思いますが。

CYF:そうですね、Lee Sau Yin。ダニー・リー。

FE:ハリウッドでは、最高の映画のパートナーシップは男と女というのがほとんどですが、あなたの場合はいつも。。。

CYF:そう、男と男なんですよ。

FE:あなたとダニー・リーのスクリーン上での化学反応はとてもいいですよね。

CYF:私たちはダニーにこの役をやらせようとしたんですが、彼は断ったのです。なぜだか分かりますか?なぜならスクリーン上で、彼はいつも警察官だったからなんです!「CITY ON FIRE」では、彼は悪い男を演じるのです!しかし私は彼に再三、プッシュしました。私たちはセリフを変えるために何度も何度も台本を書き直しました。私たちが兄弟のような役にしようと試みました。事実、彼は温かい心を持った悪い男です。私も悪い男ですが、また警察官でもあるのです!私はこの2人のキャラクターが好きですね。

FE:その正反対にあるのが「THE KILLER」ですね。

CYF:ええ、よく似てますね。

FE:「BETTER TOMORROW」のマーク哥と「CITY ON FIRE」の違いは、マーク哥は自分を取り巻く環境を自分でコントロールできる部分がかなり残されていたけれども、「CITY ON FIRE」の警察官は悪役である間、彼自身の運命をコントロールできなかったことでしょうか。これはジョン・ウーとリンゴ・ラムの違いでしょうか?ジョンはコントロールすることが好きで、リンゴは混乱(カオス)が好きだと?

CYF:リンゴはより人間的で現実的なスタイルです。この男(後ろで忙しく監督をするウー監督を指す)はよりドラマティックでロマンティックなんだよ。

FE:ジョン・ウーの映画のキャラクターはとても大げさな傾向があります。これらの並はずれた人物であることへの要求を満たすことは俳優として大変なことですか?

CYF:一つ話をお聞かせしましょう。俳優にとって、台本、ペーパーには単なる対話が書いてあるに過ぎません。しかし説明や演技を通して、私はその対話を本当の物語にすることができるのです。みんなはチョウ・ユンファに会うために、スクリーンを通じて見るのです。みんなを惹きつけるにはどうすればいいのか?私がヒーローであることや、私が悲しいこと、私が楽しいことをどのようにすればみんなに信じさせることができるのか?全ては台本にありますが、スクリーン上に台本はないのです。物事はあなたの心の中(台本の中)にあり、あなたが人々に「私は悲しい、私は楽しい、信じて欲しい。。。」と伝えるとき(がスクリーン上)なのです。事実、私は映画はファンタジー(空想)だと思っています。そう(ゆん様@指を鳴らす)、夢みたいなものです。あなたはそれを捕まえることもできないし、触れることもません。人はあなたの表情を見ているのですから、あなたは内側の全てを見せるのです。その真実があるところが映画なのです。台本や物語の中ではないのです。

FE:映画は現実ではなく、真実に関係しているのですね。香港での問題は以下のようなことです。アメリカでは一定の段階を過ぎると、1年に4本の映画を撮ることができ、正しい4本のフィルムを選ぶのに注意を払う練習をするということです。中国映画界では、人気が出れば直ちに、1本終われば次の映画、というふうに撮り続けなければなりません。それにはいつも驚かされます。かつてイギリスで、私は毎週のように中国映画を見に行っていました。そしてある週には、ジョン・ウーやリンゴ・ラムの映画のようにとても最高のあなたの映画を見るけれども、次の週にはとてもひどい映画だったり。。。

CYF:そこが重大な問題なのです。今現在、私はそうしていません。1年に3本の映画です。しかし1988年は、1年で13本の映画を撮ったのです。もしもずっとこのペースで続けていったら、自分が死ぬってこと分かりました。映画をやめるまでね。

FE:これはその頃のあなたの人気の高さについてのジョークですが、あなたはスタジオに入って、ただ座っているだけ。ある映画のクルーがあなたの顔を撮影して、他のクルーはあなたの手を、他のクルーはあなたの足を、他のクルーは。。。そしてそれらは全部違う映画を撮ってるんだ、ってね!

CYF:(笑)いやいや、それは冗談だよ。できっこないよ。

FE:Liu Chia Liang監督の「TIGER ON THE BEAT」はおそらく唯一、本当に情け容赦のないマーシャルアーツのアクションをあなたが演じた映画ではないでしょうか。あれだけたくさんのガンプレイの後、そのような実地アクションをこなすのは、どのくらい難しかったですか?

CYF:実際はそんなに難しくなかったですよ。あの映画でのアクションは全てLiu Chia Liangが考えたものなのです。Liu Chia Liangは'bing hey'−ナイフやヤリなど、全ての中国の武器を操ることができるのです。彼は私にたくさん教えてくれましたし、トリックのやり方も知っています。"the bat diao"、最後のナイフを覚えてますか?あれは私の指とナイフをワイヤーでつないだのです。だから私はこーんな風にナイフを回せたんですよ(大笑いしながら、実際にやってみせる)

FE:「TIGER ON THE BEAT」でコナン・リーと共演していかがでしたか?

CYF:Lee Yun Batはよりgwailo(西洋人?)です。彼は中国人じゃないし。ハリウッドスターのような感じです。彼はいつも。。。(鼻をすする真似をする)

FE:香港映画について一つ言えることは、女性はいつも大変な目にあうということです。「TIGER ON THE BEAT」で、あなたはLi Chiが気を失うまで殴り倒すシーンがありますよね。そういうシーンではどう感じますか?

CYF:とても悪いなぁと思いますし、かわいそうに思います。でも聴衆はそれを望んでいるのです。。。

FE:聴衆の一部の人が好きなのでは。。。

CYF:いえいえ、全ての聴衆が望んでいるのです。Li Chiは中国出身で、そのことを誇りに思っているんです。香港市民みんなが彼女のことを嫌っているのです。

FE:だから彼らはあなたが彼女を殴りつけるのを見るのが好きだと?

CYF:はい。

FE:あいやぁ。どうしてLi Chiは人気がないんですか?そしてどうして別のバスト女優、Amy Yipはセックスシンボルになれたのですか?

CYF:Yip Chi Mayはより現実的だからでしょう。自分から「私は娼婦よ!意気地なしよ!」と。。。

FE:彼女はこのインタビューであなたがそう言っていたと感謝することでしょうね。あなたの最も成功した香港映画の一つは「GOD OF GAMBLERS」ですね。あの映画であなたは“Do San”、スーパーギャンブラーであり、そして頭を打って少し知恵遅れの“idiot-savant”になってしまう役を演じました。この映画は「Rain man」を非常に思い出させます。あなたの演技は「Rain man」のダスティン・ホフマンの演技に感化されて、Do San はその自閉的なバージョンですか?

CYF:確かに似ていますよね。「GOD OF GAMBLERS」は「Rain man」に感化された作品ですが、同様に違うところもたくさんありますよ。私は「Rain man」を見ました。あの映画は好きです。もしもあなたに私がダスティン・ホフマンに似ていると言ってもらえるなら、私は「本当にありがとう!」って言いますよ(笑い)

FE:西洋で本当にあなたの名前を知らしめたのはジョン・ウー監督の「THE KILLER」でしょう。あなたとダニーリー主演の。私はあの映画が好きです。しかしあの映画を見たとき、全ての騒動が何に関係していたのかを本当に理解することはできませんでした。あの映画はよかったけれども、「BETTER TOMORROW」や「CITY ON FIRE」のような映画に比べればそうでもありませんでした。どうしてこの映画が成功して、他の映画がそうならなかったのだと思いますか?

CYF:なぜだかは分かりません。私は「THE KILLER」よりも「BETTER TOMORROW (part 1)」の方が好きです。「THE KILLER」の中で私が本当に好きなシーンは、ある男を殺す時のドラゴンボートでの追跡シーンだけです。実際、あのシーンはこの映画を成功に導いています。

FE:そこはまさに中国映画ですね。西洋の人々がとてもそれに関係している(興味がある?)とは驚きですか?

CYF:そう思います。

FE:私は「THE KILLER」がアメリカでリメイクされ、あなたの役をリチャード・ギアが演じると聞きましたが。

CYF:そうですね。その映画でリチャード・ギアが私の役を演じるとしたら、ドラゴンボートのシーンは違ったものになるでしょうね。考え方が違うでしょうから。

FE:これはハリウッドが香港の映画をリメイクする初の映画となるでしょう。普通は逆ですから。あなたが作り上げた役を誰かが演じるのを見ることについて、どう考えたり感じたりしますか?

CYF:うれしいことですし、幸せに思いますよ。でもまた悲しくもありますね。

FE:それはなぜ?

CYF:なぜって?なんで(主役が)僕じゃないの、ってね(笑い)。実際、スティーブン・スピルバーグはたくさんの中国映画を見ています("with all the magic and everything"の意味が分かりません)。本当にたくさんね。彼はそれらから多くのアイデアをもらっているそうです。

FE:ジョン・カーペンターは「BIG TROUBLE IN LITTLE CHINA」という映画を撮りましたが。。。

CYF:ひどいもんだ!あの映画はひどかった。。。

FE:アクションからコメディ、恋愛映画まで全てをこなすあなたの映画の幅は興味深いものです。アメリカの俳優が同じような自由(幅広いジャンルの映画に出演すること)を楽しもうとはしてないようです。クリント・イーストウッドは社会派の映画を撮ることはないだろうし、ウディ・アレンはマグナムを持たないだろうし。。。

CYF:ええ、その通りです。私は何でもやりますよ。

FE:あなたの映画でアクション映画とコメディ、どちらが好きですか?

CYF:私シリアスな映画が好きです。コメディはあまり好きではありません。

FE:私はチェリー・チェンとの映画「AUTUMN'S TALE」が好きです。("for D&B"って何だろう? )

CYF:私は「CITY ON FIRE」「 PRISON ON FIRE」、アン・ホイ監督のボートピープルの話である「HONG KONG 1941」などが好きです。

FE:今までどれだけの映画を撮られたのですか?

CYF:80本くらいかな。

FE:わおっ!「TRIAD:INSIDE STORY」は香港版「THE GODFATHER」ですよね。しかし(今の)あなたの表情から、あまりその映画が好きではないようですが。なぜですか?

CYF:どう言えばいいのか分かりませんが。。。当時、私は3本の映画を同時に撮っていました。その映画にはそれらには私のスケジュールや時間を割くことができませんでした(だからきちんとその映画とか関わりあえなかったという意味?)。ただそれらの映画は海外で売って、(次の)撮影のためのお金をかき集めるために作られただけなのです!

FE:私は大きな玉座に小さく人が座っている「TRIAD」のポスターが好きでしたが。。。

CYF:私が思うに、観客は“「the Dai Lo」兄貴”を演じていない私なんか見たくないのでしょう。彼らはチョウ・ユンファにはガンファイター、兄貴、そしてゴッドファーザーでいて欲しいのです。私に普通の一般市民でいて欲しくないのです。

FE:人々が外出し、ショッピングセンターで通行人をなぎ倒したのは、シルベスタ・スタローンの映画「ランボー」のせいだという人がいます。もしも彼らがあなたの映画を見たなら、同じ批評を受けるのは確かだと思いますが。あなたはどう。。。(「HARD BOILED」のロケ現場から、突然、銃声が鳴り響く)いいタイミングですねぇ(笑)。映画の中での暴力と実際の暴力に関連があるのでしょうか?

CYF:私はあると思います。本当にそう思っています。

FE:ということは、暴力的な映画を作らないことが、映画製作者の責任だというわけですか?

CYF:映画製作者はその責任を負わなければなりません。フィルム教育は1990年代、特に香港では、非常に重要なものなのです。

FE:中国映画は本当にそんなに暴力的であるべきなのでしょうか?私はあなたの映画「FLAMING BROTHERS」での残酷なシーンを覚えています。役の一人が至近距離(point blank range)で自分の小さな息子を撃つように強要されるのです。そして「よくやった。それではこの封筒を。。。」(また銃声が。ひるむチョウ・ユンファ)

CYF:私は銃が嫌いだ!

FE:その言葉はテープに録る価値のある言葉です。「The Killer は銃が嫌いだ!」。それではなぜ映画での暴力シーンがそのように大げさでなければならないのでしょうか?

CYF:要因の一つは海外市場です。海外の人は広東語が分からないので、そのストーリーやドラマにはあまり興味がありません。彼らはアクションに興味があるのです。なぜ世界中でカンフー・アクション映画がこんなに人気があるのか?それは人々が対話(台本)を求めているのではないからです。映画でジャッキー・チェンやアクションが見たいだけなのです。それが理由です。。。

FE:一つ、いつも不思議に思うことがあるのですが、あなたはジョン・ウーとは本当にいい友達で、彼はクリスチャンですよね。どうしてクリスチャンである彼がこのような映画を撮るのでしょうか?

CYF:「THE KILLER」の最後の教会のシーンで、彼は聖母マリア像を爆破してしまうんだ!

FE:どうして彼はそのようなことを?

CYF:私には分かりません。彼にたずねたことも一度もありませんし。

FE:実際、「THE KILLER」は非常にキリスト教的な映画です。なぜなら血にまみれた犠牲を通じて罪からの回復(浄罪?)についての映画だからです。 映画全体を通じて、あなたの役は過去の犯した罪のせいで映画全体を通じて苦しむのです。

CYF:そうですね。。。

FE:「THE KILLER」の撮影中、あなたは特別な何か感じましたか?

CYF:いいえ。

FE:ただのアクション映画だと?

CYF:はい、そうです。私はアクションものよりもヒューマンドラマの方が好きです。ジャック・レモンの「THAT'S LIFE」やジェラルド・ドパルデューの「GREEN CARD」のようなね。

FE:ドパルデューはアメリカに来るずっと前からフランスでは大スターだったのです。アメリカで映画を撮るようにと、アメリカの誰かがあなたにアプローチしてきましたか?

CYF:いいえ。

FE:アメリカで働く中国人俳優に対する障害“barrier”は何でしょうか?

CYF:障害。。。?(“barrier”hay mey-ah?)

FE:“barrier”とは“men-tay”、問題のことです。

CYF:問題、問題は。。。ハリウッドでは、西洋人が彼ら自身を保護するということでしょう。ジョン・ローンを見てください。彼は「THE LAST EMPEROR」のような「中国人」しか演じることができないのです。他の役を演じることはできないのです。

FE:「THE MODERNS」という映画で、彼はとても西洋人っぽい役を演じましたが、それは。。。

CYF:そうです、彼はフランス人を演じていました。しかしあの映画はひどかった。。。

FE:アメリカの映画製作者で尊敬するのは誰ですか?

CYF:うーん、たくさんいるんだけど。。。

FE:あなたが作りたい映画は「DRIVING MISS DAISY」のような種類の映画である、という、「THE KILLER」だけを見た人にはとても奇妙に思えるに違いない有名な話がありますが。

CYF:(笑いながら)そうですね、私は、コッポラ、スコセッシ、トニー・スコット、サム・ペキンパー、スティーブン・スピルバーグ。。。たくさんの監督を尊敬していますよ。

FE:現在、あなたはそんなに働いていませんよね。チョウ・ユンファはオフの時間をどのように過ごしているのですか?香港では人に気付かれずに外出するのは難しいのでは?あんなに小さな土地ですし。

CYF:ハイキングで?いいえ、香港にはたくさんの山がありますよ。

FE:いえいえ、町の通りでです。

CYF:いやいや、私はどこにでも行くことができますよ!“dai pai dong” (安い露店)にも行きますしね。

FE:みんなが近づいてきて「チョウ・ユンファだ!ナプキンにサインしてくださいっ!」って言われませんか?

CYF:みんなに見られることにはもう慣れましたよ。韓国や日本においては、より熱狂的ですね。なぜなら私にとって新しい市場だからでしょう。タイやシンガポール、マレーシアでは、みんなが私を友達のように扱ってくれますから。

FE:しかしみんなはあなたを「我らのアイドル」として扱うので、それは重責に違いないですよね。よい手本としてきちんと振る舞わなければならないことについてどう感じますか?

CYF:はい、でもそうしなければならないのです。俳優はみんなのよいお手本になれるのです。また私のキャラクターはとても気取りのない家庭的なものです。私は出歩くのが好きではありません。ナイトクラブやディスコも好きではない。私は料理とか赤ちゃんが好きなんです。

FE:ということは、「ONCE A THIEF」のエンディングで実際のチョウ・ユンファを見ることができると?

CYF:その通り!私はハリウッド・スタイルが好きです。ほとんどの人は撮影の後、家に帰ってガーデニングをしているからね。農場を買って、撮影後はそこに行くスターもいるし。

FE:ハリソン・フォードはワイオミングに農場を持っていますよ。

CYF:ええ、ケビン・コスナーでさえ(農場を持っている)。

FE:ということは、「ALL ABOUT AH LONG」のような映画がギャング映画よりも、本当のチョウ・ユンファを反映しているということですね?

CYF:はい、私は「ALL ABOUT AH LONG」の方が好きですね、あれよりもね(チョウはくすくす笑い、銃撃戦の真似をして、後ろで忙しく監督しているジョンウーを指さす)。。。でもそれっておかしいよね。銃は海外の方がポピュラーなのに、ドラマは香港の方がポピュラーだなんて。

FE:「HARD BOILED」の映画について教えてください。この映画でのあなたの役柄は?

CYF:「Dirty Harry」でのクリント・イーストウッドです。

FE:先日、ジョンは“Mifed”用の番組予告(※「the mifed promo」=MIF(Marche international du film)とは、カンヌ国際映画祭と同時に行われる、映画を売買する国際規模マーケットのことらしいです。多分このことだと思うのですが・汗)を見せてくれました。私はあなたが火からタバコをつけるシーンが気に入りました。

CYF:いいえ、それは私ではありません。カンフーディレクターでしょう。今、彼は中にいるよ(ロケ現場の中を示す)。彼はマーシャルアーツの先生(“sifu”)の一人なのです。

FE:おぉ!この映画にはカンフーがあるのですか?

CYF:そうです。彼は役もこなしてますよ。

FE:映画の中で、彼と戦うのですか?

CYF:はい、エンディングでね。

FE:観客はこの映画の見どころは?「THE KILLER」との違いはどのようなものでしょうか?

CYF:この映画に物語なんかありません。ストーリーはとてもシンプルで簡単です。60〜70%は終始戦ってますから(チョウは大笑い)。

FE:なんて熱心な売り込み方なんだ!この映画であなたがクラリネットを演奏しているのを見ました。本当にあなたが演奏しているのですか?(のような意味だと。原文の意味がよくわかりません(^^;))

CYF:いいえ。私は誰かが演奏しているのに合わせてまねただけです。

FE:音楽といえば、あなたには歌手としてのキャリアが。。。

CYF:おぉ、ひどい、ひどいもんだ。。。

FE:率直にいって、あなたは歌うことができないでしょう。なのになぜ歌手という仕事をしたのですか?

CYF:楽しいから。とっても楽しいからだよ。

FE:(歌手として)成功しましたか?

CYF:ちっとも。しかしながら、私はたくさんのお金を稼いだので、それをチャリティーに寄付しました。レコードを作った主たる目的はチャリティーのためだったのです。

FE:先日、リンゴ・ラムに会った時、彼は「PRISN ON FIRE 2」にたくさん口出し(?)をすると苦情を言っていました。私が「(ユンファが)監督をやりたかったのでは?」と言うと、「多分そうかもしれないな」とリンゴは言っていました。そうなんですか?

CYF:いいえ。

FE:なぜですか?あなたには映画作りの経験が豊富にあるじゃないですか。

CYF:香港で監督になるのはかなり複雑なことだと思うからです。監督はあらゆることを心配しなければなりません、予算やキャスティング、ロケ地、プロダクションなど。支援が十分でなければ、監督自らがたくさん出資しなければなりません(かなり意訳・間違ってるかも)。チームワークがアメリカの標準よりも低いと思います。監督の背後によいチームワークがないのです。ハリウッドでは、監督はモニターとエアコンのある別の部屋に座っていて、現場に来て「アクション!」と言うだけ。それで全てなんて!彼らは何もする必要はないのです。第一、第二監督がやってくれますから。でもジョン・ウーは全部(自分で)やらなくてはならないのです。

FE:今日のジョンは本当に疲れてるように見えますね。

CYF:そうなんだ。彼はカメラにも目を通すし、小道具作りに手も貸すし、俳優のアクション指導もするし。。。

FE:それはかなりのハードワークですよね。プロデューサーについてはどうですか?

CYF:マイケル・ダグラスみたいに、演じてプロデュースもする?ハリウッドの実力者になるために?ハリウッドではイエスかも知れないけれど、香港では。。。私はそうは思いませんね。

FE:なぜ香港映画業界は映画に対して尊敬の念がそんなに低いのですか?あなたはここでたくさんのよい映画を作っていますが、業界は価値ある芸術作品を作っていると思っていないようです。ただ単にお金、お金、お金。。。

CYF:それは中国人の考え方でしょう。

FE:香港?中国?それとも両方?

CYF:そういう人は世界中にいます。彼らはお互いを尊敬していないからです。お互いを嫌ってさえいます。一つ言えることは、これは中国人に限らず、世界中でいえることですよ。二人の友達がいて、双方が貧乏なときは、彼らはとても(距離が)近くて一緒にくっついています。しかし突然一人が金持ちになると、彼らはばらばらになってしまいます。特に中国人は他人の成功を喜ばないのです。

FE:以前、あなたは香港は40年間も映画作りをしているけれども、映像博物館がなく、映画作りの記録さえないと嘆いていましたよね。その言葉から、あなた自身にそのような博物館を作る計画があるのでは、と多くの人が解釈しているようですが。

CYF:それは私の考えではありません。それは映画産業全てのものです。私は博物館が設立されることを望んでいます。まだ上院議院の予算と場所の承認を待たなくてはなりません。なぜなら、いったん建築すれば、建物のメンテナンスもしなければならないので、たくさんの費用がかかるからです。彼らは提案を議会に送ったそうです。

FE:フィルムはどのようなフォーマットで格納されるのですか?レギュラーカラー35mmですか?

CYF:35mmだと思いますよ。

FE:それでしたら、かなり大きくて温度管理された環境が必要ですね。もしも外国人用のスペースにチョウ・ユンファの映画を1本だけ置くとしたら、どの映画になるでしょうか?

CYF:「A BETTER TOMORROW part one」だと思いますね。

FE:もしもそれらの一つだけ破壊するとしたら、どれにしますか?

CYF:いっぱいあるけどね(チョウ・ユンファ以外の人の笑い声)

FE:恐らくポルノ映画の中からでは?

CYF:そう!それらは全部ね!

FE:私はあなたが虎の糞を食べる映画に一票を投じたいのですが。あれは価値がある?(チョウは大笑い)

CYF:あれはとてもばかげた映画だよ!時々、私はコメディを演じるときは、狂気になって、自分を幸せにしてしまいます。俳優として真剣に演じることができないこともある。あまりにもひどすぎてね。だから自分自身をおかしくしてしまうのです。虎の糞と演技をしたり、観客にひどい表現をしするときにはね。演技を通じて、マスターベーションしているようなものだよ。

FE:なるほど。「MY FAIR LADY」の逆のようなものですね。

CYF:そう、その通り。

FE:「THE WORLD'S GREATEST LOVER」では、中国の田舎の無骨者で、アニタ・ムイの手によって香港社交会の名士になるという役を演じました。私がその映画をみたとき、中国人の観客は死ぬほど笑っていましたが、私はちっとも分からなかったのです。

CYF:それらは「内輪受けのジョーク(中国人にしか分からない笑い)」じゃないかな。

FE:あなたは自分の名声を楽しむために、実際にヨーロッパへ行ったことはありませんね。2、3年前にシカゴの映画祭にあなたが行かれたことは知っています。Caroline Vieがあなたが映画祭のためにパリに行くことになっていたと言っていましたが。覚えてますか?

CYF:おぉ、そうですね。でも実際、パリには何度も行ったことがありますよ。

FE:「ONCE A THIEF」はパリで撮影したんですよね。

CYF:その前に「STORY OF ROSE」が。

FE:マギー・チャンとの。それは見ましたけど、あまりよくなかったです。

CYF:よくないね。ひどいもんだ。

FE:それも壊してしまうべきフィルムかも知れませんね。

CYF:いやいや、そこまでひどくはないよ。この映画の元になっているストーリーの本は香港では非常に人気が高いのです。

FE:あなたはヨーロッパで映画を撮っているけれども、映画のプロモーションやヨーロッパの映画祭のために行ったことはないですよね。

CYF:カンヌに行ったことがありますよ。

FE:本当に?

CYF:ええ、「BETTER TOMORROW Part One」よりも前の1984年のことです。Ann Huiと一緒に行きました。「THE STORY OF WU WEI」でね。その作品が映画祭で上映されたので、アンと私を映画祭に招待してくれたのです。

FE:「HARD BOILED」のプロモーションのために、来年どこかの映画祭に行くご予定はありますか?

CYF:私の所属会社である「Golden Princess」次第だね。

FE:たくさんのイギリスのファンがあなた本人に会いたいラブコールを送っていますよ。

CYF:(笑いながら)イギリスの?

FE:イギリスにたくさんファンがいるとは信じられませんか?

CYF:信じられないよ!

FE:驚いてますね。ファンといえば、私はあなたを自分のためにファンクラブをはじめるような男だとは思いませんでしたが。(笑うチョウ)

CYF:実際、私にはファンクラブがありません。彼らはチョウ・ユンファの友達なのです。私は彼らにTシャツや記念品を送りましたよ。

FE:あなたの顔をプリントしたTシャツを着ている人とは関係があるのですか?その背後にある気持ちが理解できますか?

CYF:あれは私のアイデアではありません。私はファンクラブを設立したくはなかったのですが、ファンと接触しなければならなかったので、妻とマネージャーが「設立しなくちゃいけない」と言ったのです。僕とコンタクトを取ることができるというメッセージを彼らに送らなくてはならないのです。Tシャツでさえ、彼らに送らなければなりません。もしもファンクラブを設立したら、私はたくさんの愛を彼らに与えなければならないと思っています。彼らとコンタクトを取るためにとどまらなければならないし。そのとき、私の気分は良かったのですが、正当ではないと感じました。彼らはお金を送り、私はTシャツを彼らに送ったのです。その時、私はすまないと思ったのです。

FE:もしも誰かのファンクラブに入るとしたら、誰のファンクラブに入りますか?

CYF:ロバート・デニーロ!

FE:詳細をお送りしますよ。

CYF:(笑いながら)おぉ、ありがたい!

FE:あなたの全てのファン。。。いや、イギリスのあなたの友達へのメッセージをいただけますか?

CYF:「Thank you」だね。

FE:そして、あなたはすぐに彼らに会えることを願っていますか?

CYF:多分、2年以内にはね。僕の子供たち(映画のこと?)を連れてね。

FE:チョウ・ユンファさん、私とのおしゃべりのためにお時間を割いていただいてありがとうございました。

CYF:ありがとう。こちらこそ、楽しかったよ。


This article is from "The Yin and Yang of Chow Yun-Fat".
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もどりまっせ☆
(03.11up)

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